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著作権Q&A

生徒が調べ学習で作成した資料を、学校のホームページで公開してもよいか?

 ホームページで公開したい資料の中に他人の著作物を利用しているのであれば、その著作権者の許可が必要です。
 もし、学校の授業で使うためであれば、授業を担当する先生や生徒は、必要な要件を満たせば、公表された著作物を無許可で複製することができます(35条1項)。また、35条1項での複製については、慣行があるときは出所の明示をすることとなっています(48条)。ですから、他人の著作物を利用して授業で使う調べ学習の資料を作成することに著作権者の許可は必要ありません。
 しかし、学校のホームページでこれら資料を公開することは「公衆送信」です。35条1項で著作権者の許可なく行えることは「複製」だけですので、公衆送信することについては35条2項に定められた条件を満たすことが必要ですが、このケースでは当てはまらず、著作権者の許可を得ることが必要です。ただし、その資料で他人の著作物を「引用」して利用しているのであれば、引用はその利用方法を問いませんので(32条)、そのままホームページに公開することができます。(詳しくは「Q.著作物の引用は、どのようにすればよいか?」を参照。)

<授業のために、著作権者の許可を得ずに複製できる要件(35条1項)>

  • 営利を目的としない教育機関であること。
  • 授業を担当する教員やその授業等を受ける児童・生徒がコピーすること。
  • 本人(教員または児童・生徒)の授業で使用すること。
  • コピーは、授業で必要な限度内の部数であること。
  • 公表された著作物であること。
  • その著作物の種類や用途などから判断して、著作権者の利益を不当に害しないこと。
  • 慣行がある場合は著作物の題名、著作者名などの「出所の明示」すること(48条)。

Q.著作物の引用は、どのようにすればよいか?

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調べ学習の授業で生徒が壁新聞を作った。壁新聞を作る際、さまざまな資料を参考にしたが、その出典はすべて必ず明記しないといけないのか?

 学校の授業内での新聞作成であれば、35条の「学校その他の教育機関における複製等」に該当します。35条では、出所の明示は要件ではありませんが、学校の授業内であってもその出所を明示する慣行がある場合には、作品名と著作者名など明記することとされているので、明記した方がよいでしょう。(48条「出所の明示」)
 ただ、たとえば新聞部の活動での新聞作成ということであれば、学校の授業ではありませんので、35条は適用されず、32条の「引用」を適用することになるので、出典を明記しなければなりません。

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教育番組を録画したDVDを授業で見せてもよいか。また、生徒が復習できるようその映像を動画投稿サイトにアップロードしてもよいか?

 勝手にアップロードはできません。テレビ番組は映画の著作物ですから、その利用には原則として著作権者の許可を得なければなりません。
 しかし、授業で見せるために担任の先生が教育番組などを録画することは、授業の過程における複製(35条1項)に該当しますので、著作権者の許可なく行うことができます。また、授業で生徒に上映して見せることは、非営利無料の上映(38条1項)条に該当しますので、これも著作権者の許可なく行えます。
 ただし、動画投稿サイトへのアップロードはこれらの規定に該当しませんので、公衆送信権の許可が必要ですから、著作権者の許可なく行うことはできません。

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授業のために使用するので、1本のイラストソフトを生徒の人数分パソコンにインストールしてもよいか?

 生徒の人数分ソフトウェアをインストールする許可(ソフトウェアライセンス・使用許諾)を得ていなければインストールできません。
 確かに著作権法では、学校の授業で使うために、授業を担当する先生や生徒は、必要な要件を満たせば、公表された著作物を無許可で複製することができます(35条)。しかし、コンピュータプログラムについては、必要と認められる限度を超え、著作権者の利益を不当に害するため、35条は適用されませんので、著作権者の許可なく複製することはできません。

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学校での授業のためにビジネスソフトの体験版をインストールして使ってもよいか?

 体験版ソフトウェアの使用許諾(ソフトウェアライセンス)契約の内容によります。
 ソフトウェアについては、一般的に、著作権者であるソフトウェアメーカーと、利用者であるユーザーとの間で、そのソフトウェアの使用条件を定めている「使用許諾契約」を締結したうえでインストールを行ったり使用を開始したりします。体験版ソフトウェアの場合は、使用許諾契約によって、使用できる期間や機能制限事項などに加え、利用方法についても限定がされている場合があります。
 利用の可否についてはソフトウェアごとに異なりますので、ソフトウェアメーカーに確認してください。なお、学校の授業のためであっても、コンピュータプログラムについては、必要と認められる限度を超え、著作権者の利益を不当に害するため、35条は適用されませんので、著作権者の許可なく複製することはできません。

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学校の卒業アルバムに、生徒に人気のある日本のシンガーソングライターの歌の歌詞を掲載してもよいか?

 歌詞を掲載する場合には、著作権者の許可が必要です。
 著作権法では、学校の授業で使うために、授業を担当する先生や生徒は、必要な要件を満たせば、公表された著作物を無許可で複製することができます(35条)。しかし、卒業アルバムは、学校の授業で使うためのものではありませんので、35条は適用されません。
 音楽の歌詞・楽曲については、多くの著作権者(作詞・作曲家)が日本音楽著作権協会(JASRAC)などの著作権等管理事業者に著作権の管理を委託していますので、まずはその点について調査し、委託されている場合は、当該音楽著作権管理事業者に許可を得る手続きを行えばいいでしょう。ただし、許可の手続きは、歌詞を掲載した卒業アルバムの制作前に行う必要があります。

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クラス別の学内合唱コンクールを録音し、CDにして生徒に配布するにはどうすればよいか?

 CDを制作し配布することについては、合唱した音楽の著作権者である、作詞家・作曲家の許可が必要です。
 学内合唱コンクールで合唱することは、非営利無料の演奏(38条)に該当するため、著作権者の許可がなくても開催できます。
 また、CDのマスター音源とするために、学内合唱コンクールで録音することは、「許可を得る過程における利用」(30条の3)に該当するため著作権者の許可がなくても複製ができます(授業で使用するために録音する訳ではないので35条「授業の過程における複製」には該当しません)。
 しかし、当該マスター音源をCDにして配布する場合は、著作権者に許可を得る必要があります。音楽については、多くの著作権者が、日本音楽著作権協会(JASRAC)などの音楽著作権管理事業者に著作権の管理を委託していることが多いので、まずはその点について調査し、委託されている場合は、当該音楽著作権管理事業者に許可を得る手続きを行えばいいでしょう。ただし、許可の手続きは、CDの制作前に行う必要があります。

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演劇部が学園祭で劇を上演するにはどうすればよいか?

 原則として、演劇を上演する場合には脚本家の許可が必要です。ただし、学園祭では「営利を目的としていない」、「観客から入場料を徴収しない」、「出演者に出演料を支払わない」場合がほとんどなので、「非営利無料の上演」(38条)に該当し、脚本家の許可を得ずに上演することができると考えられます。ただし、この場合でも、元となる脚本を短縮したり、脚色したりするなど手を加える場合は、脚本家の許可を得なければなりません。
 また、この規定はコピー(複製)については著作者の権利が制限されていないので、脚本をコピーする場合は、脚本家の許可を得る必要があります。


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