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著作権侵害事件

ファイル交換ソフトで世界初の刑事摘発

2001年11月28日

鑑定および告訴会社 アドビシステムズインコーポレーティッド(アドビ システムズ(株))、
(株)ジャストシステム、
マイクロソフトコーポレーション(マイクロソフト(株))

インターネットに接続したユーザー同士のコンピュータ間で直接データを送受信することを可能にするいわゆる「ファイル交換ソフト」を使い、著作権者に無断でビジネスソフトなどを不特定のインターネットユーザーに送信し得る状態に置いたとして、京都府警ハイテク犯罪対策室、山科署、五条署は平成13年11月28日、東京都杉並区の男性A(19歳、大学生)と埼玉県さいたま市の男性B(20歳、専門学校生)の自宅をそれぞれ著作権侵害(公衆送信権の侵害)の疑いで家宅捜索し、同日この男性らを逮捕しました。

ユーザー同士のコンピュータ間で直接データを送受信するしくみ(ピア・ツー・ピア、Peer To Peer)を実現する「Napster」「Gnutella」「WinMx」などのファイル交換ソフトは、数年前から世界規模で爆発的に普及しつつあります。ブロードバンド化に伴って、音楽ファイルだけでなくソフトウェアや映像ソフト、写真集など多様な著作物が権利者に無断で送受信され、「Napster」に関して米国で裁判が行われているように、国際的にも問題視されています。

Aは、自宅のパソコンにインストールしたファイル交換ソフト「WinMx」を利用して、インターネットに接続した上で、アドビシステムズ社の「Adobe Photo Shop 6.0日本語版」、ジャストシステム社の「一太郎」、マイクロソフト社の「Microsoft Visual C++ for Windows Version 6.0 Standard Edition」など、パソコンのハードディスクに記録したビジネスソフトなどを、反復継続して、不特定のインターネットユーザーに対して送信できる状態にし、著作権者の公衆送信権(送信可能化権)を侵害していました。AはACCS会員各社のソフトウェア約100タイトル(総額700万円相当)を含む約2,400個という大量のファイルを、ファイル交換ソフトを起動させるたびに送信可能な状態にしていたほか、ユーザーネームを頻繁に変えていたことも分かっており、ネットワークの匿名性を利用した極めて悪質な事案でした。

Bは、自宅のパソコンにインストールしたファイル交換ソフト「WinMx」を利用して、インターネットに接続した上で、アドビシステムズ社の「Adobe Photo Shop 6.0日本語版」など、パソコンのハードディスクに記録したビジネスソフトなど500以上のファイルを、反復継続して、不特定のインターネットユーザーに対して送信できる状態にし、著作権者の公衆送信権(送信可能化権)を侵害していました。またBは、多数のMP3形式の音楽ファイルを送信可能な状態にしており、同年12月7日、日本音楽著作権協会およびレコード会社2社より著作権および著作隣接権侵害の容疑で刑事告訴されました。

京都府警ハイテク犯罪対策室などでは、男性らの著作権侵害行為の捜査を進めていましたが、ACCSでも、警察からの要請に応えて、長期間に渡りこの男性らに関して、ファイル交換ソフトを利用したソフトウェアの送信可能化状況について調査を実施したほか、対象となったソフトウェア(プログラム)について正規のものとの同一性を確認するなど、警察の捜査に全面的に協力しました。

なお、Bには平成14年3月22日、京都簡易裁判所より罰金40万円の略式命令が下されました。

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