よくわかるソフトウェア管理(連載)

第2回 不正コピーによるリスク

ソフトウェア管理を円滑に実施するためには、その前提として、特に経営者に不正コピーが引き起こすさまざまなリスクを理解してもらうことが必要です。

犯罪行為(著作権法違反)として刑事罰を受ける可能性があります
不正コピーは著作権法に違反する行為です。 企業ぐるみで不正コピーを行った場合、実際にインストールを行った従業員は10年以下の懲役刑または1000万円以下の罰金刑、またはこれらの併科に処せられる可能性があります。 不正コピーを指示した上司や経営者なども、同様の刑事罰を受ける可能性があります。 さらに、企業自体も3億円以下の罰金刑に処せられる可能性があります。


ソフトウェアメーカーから損害賠償を請求される可能性があります

刑事罰とは別に、不正コピーにより被害を受けたソフトウェアメーカーから、著作権侵害にもとづく損害賠償を請求される可能性があります。 企業ぐるみで不正コピーを行った場合のみならず、従業員が勝手に不正コピーを行った場合にも、企業には損害賠償を負う責任が生じます。 さらに、経営者個人も損害賠償を負う責任が生じる場合があります。

また、不正コピーの解決に必要な企業の出費は、罰金や損害賠償金にとどまりません。 ソフトウェアメーカーとの和解交渉のための弁護士費用や訴訟費用も必要となります。 さらに、損害賠償金を支払ったからといって、不正コピーしていたソフトウェアをそのまま使うことはできません。 今後の業務に必要なソフトウェアは、不正コピーを削除した上で新たに購入し直さなければならず、多額の出費が生じるのです。


業務が停滞します

不正コピーが発覚すると、実態調査に多くの時間が割かれることになります。 また、ソフトウェアメーカーとの間で和解した場合でも、不正コピーしていたソフトウェアのアンインストール(削除)と、正規ソフトウェアのインストールを行う必要があり、これらの作業により、業務が停滞するリスクを負います。


社会的信用を失います

コンプライアンス経営や企業の内部統制システムの構築が求められる現在、法令違反である不正コピーを起こしたことが公表されると、企業の社会的信用は失墜し、経営にも悪影響を及ぼしかねません。


社内における不正コピーを防止する方法は?

このように、不正コピーのリスクは重大で、社内における防止対策は必須です。そして、不正コピーを防止するためには、組織としてソフトウェア管理を実施することが、唯一無二の予防策となります。

次回からは、ソフトウェア管理の実務上のポイントについて解説します。

(2010年1月14日公開)


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