その他
写真をWebサイトやパンフレット等で利用する際に注意する点は?
写真をWebサイトやパンフレット等に掲載する場合、写真自体の著作権と、被写体の両方に留意する必要があります。
まず、写真自体の著作権については、写真を撮影したカメラマンなどが著作者ですから、その方から許可を得る必要があります。
次に、被写体が著作物である場合は、被写体の著作物についても著作権者の許可を得ることが必要ですが、建築の著作物や屋外の場所に恒常的に設置されている美術の著作物(たとえば駅前広場に設置されているブロンズ像)の場合は許可なく利用することができます。なお、写真に写り込んでしまった著作物についても、軽微なものであれば、著作権者に許可を得なくても利用することができます。
さらに、被写体が人物の場合には、肖像権が認められていますので、被写体となった人から写真の利用について了承を得ることが必要です。加えて、被写体が有名人の場合で、写真の掲載が商用利用の場合はパブリシティ権について了承を得ることが必要です。
著作物の引用は、どのようにすればよいか?
公表された著作物は、公正な慣行に合致し、かつ報道、批評、研究その他、目的上正当な範囲であれば、引用して利用することができます(32条) 。判例では、他人の著作物を「引用」する場合、以下の要件を満たせば、著作権者の許可を得なくても利用できるとされています。また、それ自体は要件ではありませんが、引用については、出所の明示が規定されています(48条) 。
<引用の要件>
- 引用される著作物が公開されていること。
- 引用部分と自分の著作物が明確に区別されること。
- 自分の著作物と引用された著作物の主従関係において、前者が主で後者が従であること。
119条3項に定める「有償著作物」とはどのようなものか?
有償著作物とは、法律では「録音され、又は録画された著作物又は実演等であって、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの」とされています。具体的には、販売されている音楽CD、映画のBDや有料でインターネット配信されている音楽作品、映像作品がこれにあたります。
TVで放映されただけのドラマやアニメーションや発売前にラジオで流れただけの音楽作品などは、その時点では有償で提供・提示されていないため、有償著作物にはあたりません。これら作品が、BD等の媒体や有料配信などで提供・提示された時点から、有償著作物になります。また、既にBD等で販売されている映画などをTVで放映された場合は、当該著作物は有料で提供・提示されているものなので、有償著作物です。
もっとも、有償著作物であるかどうかについては、刑事罰の対象となるかどうかの問題だけであって、違法にアップロードされたものである映像や音楽を、それと知りながらダウンロードすることは違法なため、権利者の許可なく行うことはできません。
インターネットオークションで知らずに海賊版のビジネスソフトを買ってしまったが、そのまま使ってもよいか?
利用しないでください。一般的に、著作権者であるソフトウェアメーカーと、利用者であるユーザーとの間で、使用許可契約を締結したうえでインストールを行い、使用を開始します。海賊版ソフトの場合、ソフトウェアのインストールはできますが、ユーザーはこの使用許可契約を締結することができないため、ソフトウェアを利用することができません。
©(マルシーマーク)は付けなくてはならないのか。
©表示は、このマークのあとに著作権者名、発行年月日を記載することで、著作権者を示す表示です。
日本の著作権法では、著作権に関する国際条約であるベルヌ条約の規定と同様、著作権の発生に何らの方式を必要としません(無方式主義)。そのため、著作物が完成すれば自動的に著作権が付与されます。
しかし、特許権のように著作権の発生に登録を要件とする(方式主義)国があり、当該国で著作物を保護してもらうためには、著作物ごとにいちいち登録しなければなりませんでした。そのような国の代表が過去のアメリカで、つまり、アメリカで日本の著作物が保護を受けるためには、アメリカで著作権登録しなければならなかった時代があったのです。
この不都合を解消するため、著作権に関する国際条約の1つ、万国著作権条約では、©表示があれば、方式主義を採用する国においてその方式を満たしたものとすることが定められています。つまり、無方式主義である日本の著作物に©表示があれば、方式主義であるアメリカでも保護が受けられるということだったのです。
その後、1989年にアメリカがベルヌ条約に加盟し、無方式主義を採用したことや、経済協定である「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPs協定)」においてベルヌ条約の遵守が規定されたことを受けて、現在では©表示の意味はほとんどありません。実際に、©表示が法的に意味を持つのは、方式主義を採用しており、万国著作権条約にのみ加盟している国、もしくは、いずれの条約にも加盟していないが他国の著作物を自国で保護する条件として©表示の規定を持つ国のいずれかに限られます。ベルヌ条約の加盟国・地域は現時点で166あり、世界の主要な国・地域はおおよそ加盟しています。万国著作権条約にのみ加盟しているのはカンボジアのみです(ただし方式主義を採用しているかどうかは判然としない)。
ただし、©表示で著作権者を明示することによって、著作権を明確に主張する意味はあるので、付けておくことも実務上は有効だと考えられます。
なお、「All Rights Reserved.」表示は、ブエノスアイレス条約というアメリカおよび中南米諸国で締結された条約に基づく表記なので、条約に加盟していない日本でこの表記をしても何の意味も持ちません。
カーナビとデジタルオーディオプレーヤーを新たに買ったので、古いものをインターネットオークションで売ろうと思うが、おまけとして最新地図ソフトのコピーを付けたり、音楽や英会話教材を入れておいてあげたりしてもよいか?
著作権者の許諾なく他人の著作物の複製物を譲渡することはできません。
地図ソフトや音楽などの著作物を、自分で使うために自分でコピーをする場合、著作権者の権利が制限されますので、著作権者の許諾なくコピーすることができます。しかし、他人に譲渡するためにコピーする場合は、この著作権の制限には当てはまりませんので、著作権者の許諾が必要です。さらに、複製物を他人に譲渡する場合も著作権者の許諾が必要で、おまけで付けた場合であってもいわゆる海賊版の販売と何ら変わりありませんので、絶対にしないでください。
無料で配布されているソフトはどんな使い方をしても良いのでしょうか?
いけません。ソフトの使用許諾(ソフトウェアライセンス)契約や利用条件の内容によります。
無料で配布されているソフトは、使用の対価がフリー-なだけであり、著作権フリーという意味ではありません。無料で配布されているソフトウェアも著作権法で保護されており、著作権は著作権者であるソフトウェア制作者やソフトウェアメーカーが保有しています。
ソフトウェアについては、一般的に、著作権者であるソフトウェア制作者と、利用者であるユーザーとの間で、そのソフトウェアの使用条件を定めている「使用許諾契約」を締結したうえでインストールを行ったり使用を開始したりしますが、商用利用禁止などの利用条件を定めた上でソフトウェアを無料配布している場合があります。いずれの方法であっても使用許諾契約や利用条件に従ってソフトウェアを使用することが必要です。
なお、無料で配布されている有料ソフトの「体験版」についても同じです。
「海賊版」とはどのようなものですか?
海賊版とは、著作権者の許諾を受けずに複製された著作物のことです。ビジネスソフトやゲームソフトなどのコンピュータプログラムや音楽CD、映画DVDなどの媒体の「コピー品」が典型的なものです。
また、著作物ファイル(デジタル著作物そのもの)を送信する形態の著作権侵害も一般化しており、当協会では著作権者の許諾を受けずに複製された著作物ファイルも含めて「海賊版」と呼称しています。
他人の著作物を利用する場合は必ず著作権者の許諾が必要なのか?
他人の著作物を利用する場合、原則として著作権者の許諾が必要ですが、権利をあまりにも強くしてしまったのではその著作物が利用される機会が減ってしまうため、条件にあてはまれば著作権者の権利が制限され著作権者の許諾なく利用できるという規定(権利制限規定)を設けています。これは著作権法が、公正な利用に留意しつつ権利を保護することを以て文化の発展に資することを目的としているためです。
権利制限規定には、「私的使用目的のための複製」や「学校等教育機関における複製」「非営利無料の上演・演奏等」「引用」など様々な規定がありますが、それぞれ適用されるための条件が異なっていますので、注意が必要です
なお、本を読む、音楽を聴くなどの場合は、著作権者の権利が及ばないため自由に行うことができます。