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著作権侵害事件

イタリアでのアニメ・ゲームの海賊版販売、ローマなどの3店舗を摘発

平成18年4月7日

イタリア共和国・ローマ市の財務警察(Guardia di Finanza)は2006年3月、日本のアニメーション、ゲームなどの海賊版DVDを販売していたローマ市内などのアニメショップ3店舗を著作権法違反の疑いで家宅捜索し、400枚を超えるアニメーションやゲームなどのDVDを押収しました。財務警察による家宅捜索は、(社)コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)による現地での実態調査に基づいてACCS会員企業6社が行った刑事告訴を受けて実施されたもので、同警察などによると、日本コンテンツの著作権侵害についての刑事摘発は、イタリアでは初めてとのことです。

イタリアでは日本のアニメーションやゲームの人気が高い一方で海賊版が横行していますが、ACCSでは、今回の摘発が、現地での日本コンテンツの正規ビジネス環境をつくるための第一歩になるものと考えています。

同警察によると、家宅捜索は、ACCSの会員企業である、(株)講談社、(株)スクウェア・エニックス、(株)集英社、ダイナミック企画(株)、(株)手塚プロダクション、東映アニメーション(株)から行われた刑事告訴に基づいて、3月20、21日の2日間にわたって、ローマ市内2店舗、ボローニャ市内1店舗のアニメショップを対象に行われ、アニメーションやゲームなど約400枚強の海賊版DVDのほか、音楽CD、Tシャツなどが押収されたとのことです。

なお、ACCSスタッフが3月24日にローマ市内の家宅捜索対象の2店舗を調査したところ、1店舗では海賊版販売を止めており、もう1店舗では継続して海賊版が陳列販売されていたものの、告訴対象作品などが撤去されていた上、品揃えも以前に比べ減少しており、家宅捜索の効果が裏付けられています。

ACCSでは、2004年末ごろに会員企業よりイタリアでの海賊版販売に関する相談を受けたことから、現地調査を行って海賊版販売の実態を確認し、その結果を踏まえて、財務警察に対して摘発要請を行っていたものです。

イタリアでは、日本のアニメーションやゲームの人気の一方で、特にアニメーションに関しては、商品化されていない日本の放送番組などが海賊版DVDとして大量に流通しており、正規品DVDと同程度の価格で販売されていることが、ACCSの調査などで判明しています。また、ゲームについても、路上で海賊版が販売されていることを確認しています。

今回の家宅捜索の対象となった一店舗を経営する業者は、2004年の時点で、少なくとも毎月、2万枚以上のアニメーションの海賊版をイタリア全土で販売し、日本円にして5000万円~1億円以上を儲けていたとみられています。また、取り扱っている商品のすべてが海賊版であることも調査で確認されています。さらに、ACCSが最も問題視している点は、この業者がホームページを利用したインターネット通販も行っており、ヨーロッパ各国に海賊版を販売していると推測されていることです。ACCSでは今回の捜索が、海賊版拡散の歯止めになることを期待しています。

なお正規の流通業者によると、イタリアで流通している日本コンテンツ(ゲーム、ゲーム音楽等を除く)は年間で約28億円規模であり、今回摘発された店舗を経営する業者がイタリア市場に流通させていた海賊版は、売り上げベースでその60%程度を占めると推計されています。

今回のACCSによる現地調査や捜査機関への情報提供・協力に関しては、在イタリア日本大使館、外務省、文部科学省、経済産業省など、関係省庁等のご協力をいただき進めてきました。また、ACCS会員企業をはじめとした、多くの日本のコンテンツ産業関連の皆さんから、侵害対応へのご賛同をいただいております。ACCSでは、日本コンテンツの海外進出について、今後も関係省庁やコンテンツ業界関係者などとの連携やご協力をいただきながら、積極的に取り組んで参ります。

さらに現地では、イタリア国内における著作物全般について中心的に関与する著作権管理団体である「イタリア著作者出版社協会」(Societa Itariana Autori Editori(SIAE))と面談し、協力関係を構築していくことを合意しました。

鑑定および告訴会社

  • (株)講談社(カードキャプターさくら/封印されたカード)
  • (株)スクウェア・エニックス(ファイナルファンタジーX)
  • (株)集英社(ナルト)
  • ダイナミック企画(株)(新ゲッターロボ、マジンカイザー)
  • (株)手塚プロダクション(火の鳥)
  • 東映アニメーション(株)(ワンピース/守れ最後の大舞台)

賛同者(50音順)

今回の摘発に当たっては、下記の25社・団体の皆さんにも、その趣旨に賛同いただいています。

(株)アニプレックス (株)ヴァル研究所 エイベックス・グループ・ホールディングス(株)
(株)カプコン 神谷信行(弁護士) (株)講談社
(株)コーエー (株)さいとう・プロダクション (有)里中プロダクション
(株)サンライズ (株)しちだ・教育研究所 (株)集英社
(株)小学館プロダクション すぎやまこういち(作曲家) (株)スクウェア・エニックス
ダイナミック企画(株) (株)ダイネン企画 (有)ちばてつやプロダクション
(株)チュンソフト (株)ティーワイリミテッド テクモ(株)
(株)手塚プロダクション 東映アニメーション(株) (株)ナムコ
弥生(株) 中間法人日本動画協会  

摘発に対するコメント

現地での日本コンテンツの人気

イタリアにおける海賊版流通の背景には、日本製コンテンツの人気の高さがあると考えられます。
日本貿易振興機構(JEtrO)がまとめた資料によると、日本の放送番組の地上波での放送時間は、欧州主要国のうちでイタリアが3位(2002年・998時間)となるなど、人気の高さが伺えます(Essential Television Statistics調べ)。またイタリアでは、以下のアニメ作品が放送されています。

キャプテン翼:Road to 2002 炎のアルペンローゼ 聖闘士星矢ハーデス編
若草のシャルロット 紅三四郎 名探偵ホームズ
サイボーグクロちゃん Let's go The かぼちゃワイン
ダッシュ勝平 Les Sauveurs de I'Outre-Monde 東京ミュウミュウ
デジモンアドベンチャー ラブひな 私の足ながおじさん
Dr スランプアラレちゃん めぞん一刻 宇宙空母ブルーノア
ドラえもん マーマレードボーイ 宇宙魔神ダイケンゴー
おジャ魔女どれみ 名探偵コナン 宇宙戦士ハルディオス
ドラゴンボール わがまま☆フェアリーミルモでポン ヤッターマン
デュエル・マスターズ 機動戦士ガンダム ヤットデタマン
科学忍者隊ガッチャマン 明日のナージャ プチプリ*ユーシィ
銀河旋風ブライガー One Piece 遊戯王III
とっとこハム太郎 機動警察パトレイバー ゾイド
アルプスの少女ハイジ ポケットモンスターアドバンス  

Euro japancomic調べ
(出典・2005年3月・日本貿易振興機構市場開拓部
「フランスにおける日本アニメを中心とするコンテンツの浸透状況」)

イタリアにおける知財保護

イタリアは日本と同様、著作権に関する国際条約「ベルヌ条約」に加盟しており、2000年には著作権法違反による大規模な摘発が行われるなど(IFPI「The recording industry 2005 Commercial piracy report」より)、決して法整備・運用の遅れた国ではありません。しかし、著作権は私権であることからも、侵害行為の摘発をイタリア警察の独自捜査に任せるのは現実的ではなく、権利者自らが声を上げる必要があります。
この点で今回、日本の著作権者6社が、距離、言葉などの壁を越えて侵害行為者の摘発に至ったことは、イタリア国内に向けては日本の著作権者の権利保護に関する強い意志を示したばかりでなく、日本の著作権者に向けては、海外での著作権保護・ビジネスの在り方を考えるきっかけをつくる、大変意義深いものであるとACCSでは考えています。

以上

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