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活動報告

フォントプログラムの無断インストール販売、地裁判決に基づく和解が成立

2004/9/29 更新

ACCSの会員である株式会社モリサワ(以下、モリサワ)のフォントプログラムを、コンピュータに無断インストールして販売していたとして、モリサワが、コンピュータ・周辺機器の販売会社(以下、被告会社)とその代表者(以下、被告代表者)に対して提起していた損害賠償請求訴訟の控訴審について、平成16年9月28日、モリサワの主張をほぼ全面的に認めた大阪地方裁判所の判決に基づいた両者の和解が、大阪高等裁判所(竹原俊一裁判長)の勧告により成立しました。
ソフトウェアをコンピュータなどに無断でインストールして販売する事案は、これまでに刑事摘発の対象となるケースはありましたが、民事的な損害賠償を求めて裁判に至るケースはほとんどありませんでした。今回のケースは、ソフトウェアの無断インストール販売が刑事摘発の対象となるだけでなく、多額の損害賠償の原因になることを明らかにしました。また、インストール販売による著作権侵害の事例では、侵害者が記録をとるなどの事情がない限り、販売数量などに基づいた正確な損害賠償額の算定は困難ですが、一審では、裁判所自らが積極的に損害額の認定を行い、請求額と同額の約8,000万円の支払いを命じる判決を被告らに言い渡していました。

大阪地裁の判決では、被告会社と被告代表者は、平成10年11月ごろから、同社が販売していたコンピュータに、モリサワのフォントプログラムの海賊版を無断でインストールし、多数の顧客に販売することによって、モリサワの著作権を侵害していました。
地裁判決では、様々な状況証拠から、被告会社と被告代表者は遅くとも平成12年ごろ以降、顧客に対して、恒常的に、フォントプログラムの海賊版をハードディスクにインストールすることを謳い文句にパーソナルコンピュータの購入を勧誘し、販売したパーソナルコンピュータのハードディスクにモリサワのフォントプログラムの海賊版をインストールしていたことが推認できるとしました。また、被告会社と被告代表者が、平成10年11月から平成14年10月までに販売したパーソナルコンピュータのうち、少なくとも4分の1の台数のハードディスクにフォントプログラムの海賊版をインストールしたと推定するのが合理的であると判断し、被告会社らの著作権侵害行為を明確に認定しました。

今回の和解内容には、大阪地裁が判決で認定したこれらの事実に基づき、被告会社と被告代表者がモリサワに対して8,000万円の損害賠償金を支払うほか、海賊版販売の経緯を詳細に記した「顛末書」をモリサワに提出すること、被告会社らの顧客に対して海賊版ソフトウェアの利用を止めるように依頼する文書を送付することなどが盛り込まれました。

ACCSでは、今回の和解について、当事者による損害額の立証が困難な事例についても、「侵害のし得」を許さないという姿勢を示した大阪地裁の判決に基づく、適切な和解であると考えています。
また、大阪地裁の判決では、「顧客も原告の製品の海賊版であることを認識した上で、被告会社のこのような行動を受け入れてパーソナルコンピュータを購入したものである。」と指摘されています。著作権法113条2項では 「プログラムの著作物の著作権を侵害する行為によつて作成された複製物(カッコ内省略)を業務上電子計算機において使用する行為は、これらの複製物を使用する権原を取得した時に情を知つていた場合に限り、当該著作権を侵害する行為とみなす。」と規定されており、コンピュータプログラムの海賊版と認識して購入したものを使用すると著作権侵害とみなされ、刑事罰(平成17年1月1日より、個人の場合は5年以下の懲役刑か500万円以下の罰金刑、もしくはその併科。法人の場合は、1億5,000万円以下の罰金刑)や、損害賠償の対象となることが明らかにされており、この点で、海賊版の利用者に対しても強く自戒を促すものと、ACCSでは考えています。

今回のような、ソフトウェアの違法インストール販売の事案をはじめ、組織内で行われるソフトウェアの不正コピー事案は、未だ後を絶ちません。不正コピーが反復継続して行われると、ソフトウェアメーカーは正当な対価を得ることができず、新たなソフトウェアの開発に支障を生じさせます。それだけでなく、今回のように不正コピーされたものが「ばらまかれる」と、正規のライセンスを取得してソフトウェアを利用されているユーザーの皆様に著しい不公平感をもたらすことになってしまい、それを放置すれば、ソフトウェアメーカーが行っているライセンスビジネスの根幹が崩されることになってしまう可能性も否定できません。このことは、知的財産権を尊重した「知的財産立国」を目指すわが国全体の政策を、足元から揺るがしかねない事態でもあるとソフトウェアメーカー・ACCSでは考えています。
そのため、ソフトウェアメーカー・ACCSは、正規ユーザーを守り、ライセンスビジネスの一層の振興を図るため、不正コピーの事案については厳しい態度でのぞむとともに、ソフトウェアの適正な利用や著作権をはじめとする知的財産権の重要性について、広くユーザーの皆様の理解を求める活動を展開して参ります。

以上

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