1年間にわたるネット上の監視作業を認める
「ASKACCS」個人情報流出をめぐる仮処分で元国立大学研究員と和解
2004/6/8 更新
昨年11月、(社)コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)が運営するWebサイト「著作権・プライバシー相談室ASKACCS(アスクアックス)」が利用していたサーバから個人情報が流出した事件に関して、「ASKACCS」から個人情報を取得しただけでなく、その方法をイベントで公開したほか、個人情報の一部をイベント参加者に提示し、さらに配布可能な状態にすることによって個人情報を流布・拡散させる行為を助長した元国立大学研究員に対して、ネット上の監視義務と個人情報が流出した場合の削除要請の義務を課すよう求めていた仮処分申立事件について、平成16年6月3日、京都地方裁判所で和解が成立しました。
この仮処分は、平成16年5月17日、ACCSが京都地裁に申し立てていたもので、今回の和解は、ACCSが求めていた以下の各点について、元国立大学研究員が全面的に同意してこれを自主的に行う旨宣言し、和解調書に明記されることになったものです。
- ASKACCSの利用していたサーバから入手した約1,200件の個人情報と、元国立大学研究員自らが作成した個人情報が含まれるパワーポイント資料の流布・拡散について、和解日から1年間、インターネット掲示板やインターネットホームページを1日1回程度の割合で点検すること。
- 個人情報の掲載が確認された場合は、ACCSに報告するとともに、掲示板の管理者などに対して個人情報の削除を求め、当該個人情報を掲載した者を特定するための情報収集を行うこと。
- 月1回の割合でACCSへ点検状況を報告すること。
(なお、2. にあるように個人情報の掲載が確認された場合は、ACCSから個人の方へ連絡することになっています。)
この事件に関してACCSでは、発覚直後からインターネット上の調査を行い、個人情報の拡散防止に努めていますが、本年1月には、元国立大学研究員が作成したパワーポイント資料がインターネット掲示板にアップロードされる事件が起きたほか、 3月には、元国立大学研究員が公開した手法を真似て、 ASKACCSの利用していたサーバにアクセスしたイベント参加者3人が書類送検されています。これらを見ても、元国立大学研究員が引き起こした個人情報の拡散の危険は、依然として続いていると言わざるを得ません。
ACCSとパワーポイント資料に個人情報を掲示された被害者3名は、現在、元国立大学研究員に対して、プライバシー侵害等による損害の賠償を求める民事訴訟を行っていますが、仮にこの請求が認められたとしても、個人情報を公表された方々の不安は消えません。ACCSでは、今後もネット上の監視を継続していきますが、今回の和解によって元国立大学研究員自身による監視活動が加わったことは、個人情報の拡散の防止に、より寄与するとACCSでは考えています。
なお、元国立大学研究員は2月24日、不正アクセス禁止法違反で起訴され、現在東京地方裁判所において刑事裁判が進行中です。
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