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よくわかるソフトウェア管理(連載)

9回 大学におけるソフトウェア管理の現状

平成23年2月、ACCSより全国の国公私立大学約750校に対し、ソフトウェア管理の徹底を求める要請文、およびソフトウェア管理のための小冊子とソフトウェア管理の現状をお尋ねするアンケートを送付いたしましたところ、3月末時点で約120大学からアンケートの返信がございました(ニュース記事はこちら)。
海外における違法コピーの現状について連載中ですが、番外編として本アンケートの結果をご紹介します。

85%の大学がソフトウェア管理を実施しているものの…

ソフトウェア管理の実施の有無につき尋ねたところ、85%の大学が実施しているとの回答でした。
しかし、どのような管理をしているかを尋ねたところ、各PCへのソフトウェアのインストール状況とライセンスの保有状況を把握した上で、ライセンスの過不足をチェックしていると回答した大学は、ソフトウェア管理を実施していると回答した大学のうち26%にとどまりました。多くの大学ではインストール状況またはライセンス保有状況の把握にとどまり、これら両方を把握している大学でも両者の比較まではできていないようです。


ソフトウェア管理の範囲

ソフトウェア管理を実施している範囲につき尋ねたところ、全学で実施しているとの回答が57大学、研究室を除く全学との回答が46大学でした。学内すべてのパソコンについてソフトウェア管理ができているわけではないという実態も明らかになりました。


ソフトウェア管理の苦労点、実施ができない理由

また、次に、ソフトウェア管理を行っているなかでの苦労点、ソフトウェア管理ができていない理由について尋ねたところ、主な回答としては次のような回答がございました(回答数順)。
・ライセンスが一カ所に保管されていないため保有状況の把握が大変
・パソコンの数が多くてインストール状況の把握が大変
・ライセンスの種類が多い
・管理担当者が少ない
・大学で管理の規定ないし指針が決められていない
・管理担当者に全学のパソコンを管理する権限がない


民間企業との違なる大学でのソフトウェア管理

以上の回答からは、大学におけるソフトウェア管理に対する意識は高いものの、著作権侵害を防止とするための管理としては十分にできているとはいえない実態が見えてきました。
背景事情として、大学は研究室とその他の事務部門ではパソコン・ソフトウェアの購入のための予算や購入手続き、管理権限が別になっていることが多く、また、教員個人が所有するパソコンの持ち込みや不特定多数の学生が学内のパソコンを利用している点が挙げられます。
このことが全学でのソフトウェア管理の実施に影響を与えています。また、ソフトウェア管理のための規定・指針が存在しない大学が少なからず存在した点は見逃せません。規定・指針がないと、現在ソフトウェア管理ができていても、担当者の離職、交代などで管理ノウハウが失われ、ソフトウェア管理を継続的に実施し続けることが困難になるおそれがあります。


教員の協力と学生への啓発が不可欠

著作権侵害を防止するためのソフトウェア管理を実現するためには、①全学での実施、②定期的なソフトウェア監査の実施が不可欠です。これらを実現するためには、学長の理解のもと、ソフトウェア管理の規定を整備し担当者に必要な予算と権限を与えることが前提条件となります。
そのうえで、ソフトウェア管理の実施には研究室の先生の協力が不可欠となることから、教員の理解・協力を得ることが成功の鍵となります。
また、学生に対しても定期的な著作権教育が不可欠となります。できれば学生に対しても学内コンピュータの取り扱いルールを定めると良いでしょう。


おわりに

先の東日本大震災で、関東、東北の大学にも大きな被害が発生しております。心よりお見舞い申し上げますと共に、1日も早い復興をお祈り申し上げます。
大学でのソフトウェア管理の実施でお困りの際にはACCS事務局までお気軽にお問い合わせください。


次回からは、引き続きアジア各国でのソフトウェアの違法コピーの状況や対策等の情報をご紹介いたします。

(2011年4月14日公開)


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