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よくわかるソフトウェア管理(連載)

第7回 海外子会社の不正コピー対策は大丈夫ですか?

10月29日に当協会主催のソフトウェア管理者養成講座を開催いたしましたが、定員を大幅に超える企業から参加申し込みをいただきました。 セミナーへの反響を見ましても、多くの企業にとってソフトウェア管理の必要性は十分理解されていると思います。
しかし、意外な盲点があります。その1つは、海外の子会社・支社などでの不正コピー対策です。

アジア諸国の違法コピー率

米国のビジネスソフトの権利保護団体であるビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)が毎年発表している「世界ソフトトウェア違法コピー調査」によると、2009年にパソコンにインストールされたソフトウェアの違法コピー率は全世界で43%とのことでした。 そして、アジア各国の違法コピー率は下表のとおりです。


  • BSA「第7回世界ソフトウェア違法コピー調査」より作成
韓国・台湾・シンガポールを除くと、表中の各国で世界平均を大幅に超える違法コピー率となっています。 この数字からは、アジア諸国では会社内で不正コピーが発生するリスクが高いといわざるを得ません。


海外子会社のソフトウェア利用状況を把握していますか?

ところで、皆さんの会社の海外の子会社などでは、ソフトウェアをどのように利用されているでしょうか?パソコンを何台保有し、何のソフトウェアを何本インストールし、それに対応したライセンスを保有しているかについて本社で把握していますか?
海外の子会社などでもソフトウェア管理を実施していればすぐに調べられるはずですが、本社ではしっかりソフトウェア管理をしていても、海外の子会社などについてはまったく実施していない、ということもあるようです。
違法コピー率が高い国では、日常でも海賊版が当たり前に流通しており、それを会社のパソコンにインストールすることが普通と考える現地の従業員を雇用しているわけですから、海外の子会社などではむしろ日本国内以上にソフトウェア管理を徹底する必要があります。


海外子会社で不正コピーが発覚したら…

当然の話ですが、コンピュータソフトウェアは海外においても各国の著作権法やその他法律で保護されています。
もし、海外の子会社などで不正コピーが発覚した場合、現地法に基づいて刑事罰、行政罰(国により有無あり)の対象となるほか、ソフトウェアメーカーから差止請求(違法コピーのアンインストール)や損害賠償請求などの民事責任の追及を受けることになります。
加えて、会社法で内部統制システムの構築義務を課せられている大会社の場合、内部統制システムの不備(ソフトウェア管理を行っていないこと)によって海外の子会社などによる「違法行為」が発生した場合、それによりもたらされた損害について、株主から、本社取締役に対して、会社に対する賠償責任を追及される可能性も否定できません。


海外子会社でもソフトウェア管理の実施を!

このように、海外の子会社などでは違法コピー発生のおそれが高いのにもかかわらず、ソフトウェア管理については本社と比べると後手に回っている実態があるようです。実際に勤務している方から、本社の理解が不足している旨の話を聞いたこともあります。
違法コピーの容疑で現地警察などの捜査が入ってからでは遅すぎます。ぜひ海外の子会社などのソフトウェア管理の状況を再チェックし、管理を徹底してください。

次回からは、アジア各国でのソフトウェアの違法コピーにつき、実際の状況や対策等の情報につき紹介いたします。

(2010年11月11日公開)


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