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著作権侵害事件

インターネット上の組織「ファミコン決死隊」開設者ら4人を逮捕

2000年7月4日

鑑定および告訴会社 任天堂(株)

長野県警生活保安課、ハイテク犯罪対策室と長野中央署は平成12年7月4日、インターネットを通じて知り合った100人以上を組織した上で、ホームページを通じて大量のゲームソフトを権利者に無断でアップロード(掲載)し、アクセスしたインターネットユーザーにダウンロードさせていた男性ほかメンバーなど計4人を、著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで逮捕しました。インターネットでは、ゲームソフトなどのプログラムの著作物を無許諾でアップロードし、アクセスしたユーザーにそのソフトを直接入手させるホームページは数多く、平成11年来5件の摘発が行われていますが、今回は、過去に例を見ない組織的で大規模なグループの摘発となりました。

逮捕されたのは、宮城県多賀城市の会社員男性A(27歳)、東京都世田谷区の都内大手プロバイダ派遣社員男性B(34歳)、大阪府守口市の無職少年 C(17歳)、秋田県大館市のコンビニエンスストア店員男性D(21歳)。4人は、それぞれ個人で開設していたホームページに、ゲーム専用機用のソフトウェアを権利者に無断でアップロードし、アクセスしたインターネットユーザーに無償でダウンロードさせていました。同署では同年6月14日から同16日にかけて被疑者らの自宅などの家宅捜索を一斉に行い、捜査を進めていました。

特にAは、約2年前から「ファミコン決死隊」と名付けたホームページを開設し、これを通じて募った100人を超えるメンバーから入手したソフトなど、約150タイトルの「ファミリーコンピューター」用ソフトを、無断でアップロードしていました。

Aはホームページ上で「ファミコン決死隊連隊長」を自称し、メンバーを「大将」「大佐」などの階級に分類してその名簿を公開した上で、探しているソフトをホームページ上で呼びかけて、メンバーからの提供を煽っていました。またAは「日記」や「声明文」で、このホームページは「ファミリーコンピューター」用ソフト全てのアップロードを目的としており、自らの行為は著作権侵害に直結せず、「新たな(ユーザー)層の開拓に繋がる。新規顧客獲得の切っ掛け的プラス要素すら伺える」などと記していました。

ゲームソフトは画像ファイルに埋め込むなど、偽装を施してアップロードされていました。軍隊を模した階級については、多くのソフトを提供したり入手困難なソフトを提供したりなどのメンバーの「貢献度」をはかって「昇進」に使われていました。メンバーの多くは、直接の面識がないインターネット上でのグループでした。

B、Cはそれぞれ、自ら開設していたホームページにゲームソフトを無断でアップロードしていたほか、「特別相談役」「空軍少尉」の役職でAのホームページに参加していました。Bは自分のホームページにも大量のゲームソフトをアップロードしていました。Cについては、コンピュータソフトウェアに関わる著作権侵害での摘発では、初めての少年の逮捕となりました。またDは、Aのホームページには参加していなかったものの、Bと交友関係があり、自ら開設していたホームページにゲームソフトを無断でアップロードしていました。

インターネットでは、サーチエンジンに見られるように、情報の内容に基づいたホームページの分類や集団の形成が一般的に行われており、情報の指向性によるネットワーク特有の人的関係がつくられています。このため、著作権侵害が行われているホームページの開設者やその周辺の人物などを探し出すことや、これに加わることも比較的容易です。

また、ソフトの送信や複製は技術的に難しくない上、自宅などの「密室」で一人で行われている場合が多いと考えられるために侵害行為を抑制する要因が少ないことや、何より、ネットワークでのコミュニケーションが一般的に匿名を前提としており、著作権侵害行為を自ら行ったり他の人をこれに誘ったりしても「足」がつく心配が少ないことが、今回のような侵害行為に拍車をかけていると考えられます。

A、B、Dには平成12年7月24日、長野簡裁より罰金40万円の略式命令が下されています。またCは平成12年7月24日、家庭裁判所に送致されました。

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