カプコンのスタジオで学ぼう「ゲームサウンド制作体験と著作権」開催報告
2024年7月25日、26日、ACCSは、会員企業である株式会社カプコンの知的財産部およびカプコンサウンドチームの協力のもと、同社大阪本社において、中高生を対象としたゲームのサウンド制作体験等を通じて著作権を学ぶ啓発イベントを開催しました。 本イベントは、次代を担う若年層のうち、自ら著作物を利用し、また著作物を生み出しはじめる中学生・高校生を対象とし、 中高生にとって身近で関心の高いゲームコンテンツの制作体験を通じて創作への敬意や創作意欲を育み、あわせてゲームを通じて著作権の理解を深めることを目的としています。 目次 1.開催概要 2.イベント詳細2-1 第一部 ゲームソフトの効果音収録専用スタジオの見学・体験 2-1-1 体験① 効果音制作体験 2-1-2 体験② ゲームサウンド制作についての説明動画視聴 2-1-3 体験③ 展示品見学、カプコン知的財産部のお話 2-2 第二部 ゲームソフトに関わる著作権の講義、質疑応答、感想発表2-2-1 著作権講義 2-2-2 質疑応答 2-2-3 感想発表 2-3-4 メディア取材 3.総括
1.開催概要 タイトル カプコンのスタジオで学ぼう「ゲームサウンド制作体験と著作権」 日時 2024年7月25日(木)、26日(金) 14:00-16:00 場所 株式会社カプコン大阪本社 対象 中学生・高校生 参加人数 7月25日(木) 18名 7月26日(金) 18名 主催 一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 協力 株式会社カプコン知的財産部、カプコンサウンドチーム 後援 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会 (CESA) 大阪市教育委員会 プログラム 第一部 ゲームソフトの効果音収録専用スタジオの見学・体験 第二部 ゲームソフトに関わる著作権の講義、質疑応答、感想発表
2.イベント詳細 2-1 第一部 ゲームソフトの効果音収録専用スタジオの見学・体験 第一部では、ゲームソフトの効果音の制作体験や社内見学などを行いました。 進行はACCS事務局員が担当し、参加者の誘導と対応は、カプコン知的財産部のスタッフが担当しました。
2-1-1 体験① 効果音制作体験 カプコン大阪本社のテクニカルセンター内にある、ゲームソフトの効果音収録専用スタジオ(フォーリーステージ)にて、スタジオの見学と効果音制作体験を行いました。 フォーリーステージには、土や砂利や木など、さまざまな表面の床と、効果音の作成と収録のための道具と機器が数多く設置されていました。 フォーリーステージの一般公開はほぼ行われておらず、参加者にとっては初めての経験となりました。 本体験では、カプコンサウンドチームのスタッフが、司会進行を担当しました。 司会者が自己紹介と開発に関わったゲームを紹介した後、体験の前に「ゲームサウンドとは何か」、「フォーリーという用語の由来」、そして「カプコン社におけるサウンド収録の方法」などについて解説しました。 引き続き「モンスターハンター」のゲーム映像に合わせて効果音を収録する体験を行いました。参加者から希望者を募り、司会者のお手本に続いて、映像のキャラクターの動きに合わせて、4種類の効果音を作りました。 ・キャラクターが走る音:砂利の上を足踏みする ・キャラクターが走る際の鎧の音:金物を入れたランドセルを振る ・刀を研ぐ音:2つの金ごてを擦り合わせる ・技を出すときのかけ声:参加者による「波動拳!」との掛け声
参加者の作った効果音は、カプコンサウンドチームのスタッフが収録し、副調整室で「モンスターハンター」と「ストリートファイター」のゲーム映像に効果音を合わせて編集を行い、完成した映像を全員で鑑賞しました。特に効果音を作った参加者は身近な物を道具として使いながらも、自分の作った音で映像がより臨場感あるものに変化することを目のあたりにし、喜びの表情を浮かべていました。 最後に、質疑応答が行われました。参加者からの質問と回答の一部は以下のとおりです。 Q:効果音をつくる上で大切にしていることは? A:キャラクターが生きているようにつくるのが大切。気持ちよさ、操作感につながる。 Q:現実にない音を作るにはどうしているか? A:イメージでやるしかない。連想したり、スタジオで試行錯誤したりしながら作っている。 Q:音作りで難しかった経験は? A:瓶や陶器の音取り。割れてしまうと、同じ音が作れないから。 効果音制作体験を通じて、参加者はゲーム作りの努力や工夫を知り、また、第一線で働くサウンドクリエイターから仕事で大切にしていること、楽しさや難しさについて話を聞くことができました。 ▲ページトップへ戻る
2-1-2 体験② ゲームサウンド制作についての説明動画視聴
体験①を補完するため、効果音やBGMなどのゲームサウンドづくりに関して、詳細に解説した動画を視聴しました。
動画では、カプコンのサウンドクリエイターが登場し、ゲームにおけるゲームサウンドの果たす意味や効果について、そして、野外での音の収録やゲームサウンド制作過程の説明、さらにはサウンド制作に対する想いや熱意、仕事のやりがいや難しさなどについて、実際の収録映像とともに語っていました。
参加者は、効果音制作体験に加えて動画を見ることで、サウンド作りの奥深さやクリエイターの想いを受け止めて、創作に関する理解とあこがれをより深めていました。
2-1-3 体験③ 展示品見学、カプコン知的財産部のお話 カプコン大阪本社に展示されている自社ゲームに関わるパッケージやフィギュア等の関連グッズ、ゲーム基板や受賞トロフィー等を見学しました。 ここでは写真撮影が許可され、参加者は思い思いに展示品を撮影したり、参加者同士、好きなゲームについて語り合ったりしていました。
展示品見学に続き、カプコン知的財産部のスタッフによるミニ講義を受けました。 ミニ講義では、ゲームと知的財産権の関係について、知的財産部の業務内容、また、ゲームと特許の歴史や、講師自身が関わり取得されたゲームに関する特許に関して、取得までの経緯などについて説明を行いました。 参加者の学年では、知的財産権という言葉自体、まだなじみがないと思われましたが、参加者にとって身近であるゲームとの関連で特許や商標などの説明を行うことによって、参加者も知的財産権がゲームを保護することに重要であることの理解を深めていきました。
2-2 第二部 ゲームソフトに関わる著作権の講義、質疑応答、感想発表 2-2-1 著作権講義 第二部では、ACCS職員によるゲームソフトに関わる著作権の講義を行いました。 参加者全員が学校で著作権について習ったことがあることから、講義では、参加者の著作権知識をより深め、自分の問題として意識してもらうことを意図した内容としました。 冒頭、講師から参加者に、ゲームサウンドの他に、ゲームソフトを構成する素材にはどのようなものがあるかを質問したところ、キャラクターやシナリオ、プログラムなど様々な回答があがりました。 講師が回答内容を整理し、参加者の回答したゲームソフトを構成する素材は、すべて著作権で守られていること、そして、ゲームソフト全体も著作権で守られていることを説明しました。 引き続き、著作権のルールについて概要を説明し、他人の作った作品を使う場合には作った人や会社の許可が必要という大原則を説明しました。 また、ゲームの実況動画を配信するのにゲーム会社の許可はいるかなど、ゲームソフトと著作権に関するクイズを実施しました。 参加者は意欲的に講義を聞き、講師からの問いかけに対し元気よく回答しました。
2-2-2 質疑応答 著作権の講義に引き続き、質疑応答を行いました。質疑応答では、第一部での体験や著作権講義で学んだ以上の質問がよせられ、今回の啓発イベントを体験することにより、日常での出来事を著作権の視点で見ることができるようになった様子でした。 主な質問と回答は次のとおりです。 Q:作品が似ている、似ていないのはどういう基準なのか? A:例えば同じサッカーゲームというジャンルであっても、プログラムのデッドコピーでなければ、あとから他の会社も出せる。 Q:二次創作する場合にはどうしたらよいか? A:著作権者の許諾が必要だが、二次創作についても多くの会社がガイドラインを出しているので、ガイドラインを守っていれば、許可をとる必要はない。 Q:著作権がなかったらどうなるか? A:どうなると思うか?(参加者に問いかけ) A(参加者):すぐに真似される。 A(参加者):守られない。 A(参加者):同じものばかりできてしまう。 Q:自分でプログラミングしたゲーム、営利目的かどうかなど、どうすればよいか? A:自分の著作物の使い方は自分で決めてよい。
2-2-3 感想発表 最後に、参加者は感想用紙に感想をまとめ、発表を行いました。 参加者は積極的に発表し、感想中の疑問点についてはACCS職員やカプコン知的財産部のスタッフが適宜補足しました。 効果音制作体験の感想(一部) ・様々な人たちの工夫が凝らされていると知った。 ・サウンドだけでも色々な人が関わっていると初めて知った。 ・音が入った途端に映像がリアルになってすごい。 ・自分が作った音が映像と合わさったのを見ると嬉しかった。 ・プロの方々にお話を聞けてすごく貴重な経験をさせてもらえた。 著作権に関する感想(一部) ・サウンド、映像、キャラクター、プログラムなど、ゲームを作っている要素それぞれに著作権があることがわかった。 ・ゲームや音楽をコピーしてはいけないんだと改めて思った。守られていることがわかった。 ・著作権がなければ同じゲームが増えてつまらないから、著作権は大事だと思った。 ・ゲームのイメージを損なわないようにしよう。 ・これを機に色々な会社のガイドラインを調べてみようと思った。
2-2-4 メディア取材 当日の模様は読売テレビ放送の取材を受け、7月25日の「かんさい情報ネットten」にて放送されました。イベントの様子に加えて、ACCS事務局長のインタビューが放送され、スタジオの出演者からは、こういったイベントによる啓発は重要だが、子どもよりも大人こそ著作権を学ぶべきとのコメントがなされました。
3.総括 本イベントには、中学1年生から高校3年生まで、全学年から参加がありました。 参加者は、開会から閉会まで積極的に楽しみながら、ゲーム制作現場の見学や体験に参加することによって、ゲームを作ることについて一層の関心や興味を抱くとともに、ゲームソフトが著作権で守られていることを知り、より当事者意識をもって著作権を捉えるという学びの機会となりました。 また、寄せられた参加者の感想からも、本イベントの目標を十分達成できたと考えています。 なお、本イベントの成功は、企画から当日の運営までカプコン知的財産部とカプコンサウンドチームに多大なるご協力をいただき、カプコン社のゲーム作品を利用した体験とすることができたことが大きな要因であることは言うまでもなく、改めて本イベントへのご協力に感謝いたします。 ACCSは、今後とも会員会社と協働して著作権普及啓発イベントを開催し、参加者が楽しみながら著作権を学ぶことができる機会を提供してまいります。 本事業は、(一社)授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)共通目的事業 の 助成事業として実施いたしました。
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