タイ・ベトナムでソフトウェア管理のセミナーを実施
平成19年11月30日更新
ACCSは11月19日から27日の期間、タイ・バンコク、ベトナム・ハノイ及びホーチミンにおいて開催された、ソフトウェア管理の重要性を訴える知的財産権セミナー「企業内における違法ソフトウェア対策について」に講師として参加し、現地日系企業の皆さんを対象としたレクチャーを実施しました。
このセミナーは、近年、タイなどにおいてソフトウェアの違法コピーによる著作権侵害の疑いで日系企業の摘発が相次いでいることから、これに危機感を持ったJETROバンコク事務所が情報提供と啓発を目的に主催したもので、ACCSでは、JETROからの講師の派遣要請を受け、事案の重要性に鑑みて参加を決定したものです。
20日、盤谷(バンコク)日本人商工会議所との共催でタイ・バンコク市内のホテルを会場に開かれたセミナーには、約80人が参加しました。
講演ではまず、JETROバンコクの天野知的財産権部長が登壇し、「タイにおける違法ソフトウェアの現状と対策の必要性」と題して、タイ著作権法概説のほか、現地での違法コピーの発生原因とその摘発についての具体的な状況が紹介されました。現地では、刑事事件捜査の過程でも和解を行うことが可能であることから、違法コピーの証拠収集として警察による強制捜査(家宅捜索)が利用されていることや、両罰規定により、従業員の行った違法コピーによって日系企業経営者も身柄を拘束された事案もあることなどが説明されたほか、現地ソフトウェア販売店から正規品として購入したソフトが海賊版であったり、地元業者にメンテナンスを依頼したところ違法コピーソフトに入れ替えられてしまったなどの、タイ特有の状況が紹介されました。
続いて行われた、ACCS「企業内不正コピー対策委員会」「著作権・情報モラル普及啓発委員会」委員の石澤一良氏による「時代変遷とコンプライアンス」と題した講演では、企業活動全般に求められているコンプライアンス(法令遵守)のレベルが法制度等の整備と相まって年々高度になっており、内部統制やソフトウェア管理の重要性が増していることなどが、豊富な事例の紹介とともに説明されました。
最後に、ACCS戦略法務室の太田輝仁チーフが「ソフトウェア管理のすすめ」と題して、ソフトウェア管理についての基本的な考え方と方法を紹介し、今回の講演の目的が現地日系企業のサポートであることや、現地でのソフトウェア管理の推進について、本社側の「理解」が必要であれば、ACCSが説明等に協力することなどを話しました。
21日には、バンコク郊外の「ナワナコン工業団地」でも現地日系企業の責任者など約20人を集めたセミナーを実施。その後移動したベトナムでは、23日にハノイで、26日にはホーチミンで同様のセミナーを開催し、それぞれ約20人ずつを集めました。
ベトナムでのセミナーでは、現地の特徴として従業員などの内部告発はほとんど無いものの、違法コピー率が90%以上の高率であることから、「どこにでも不正がある」という前提で権利者による対応が進められていることなどが紹介されました。
セミナー期間中には、タイ・知的財産局(DIP)、ベトナム文化情報省著作権事務所(COV)を訪問し、著作権法などの制度やその運用・取り締まり状況などを聞いたほか、現地の法律事務所でも、具体的な摘発案件などに基づいた侵害対策状況の説明を受けました。
ACCSでは今後も、アジア地域における日系企業に対するソフトウェア管理の普及活動を、JETROなどの関連団体、内外の政府機関等との協力・連携に基づいて、現地及び国内において展開していきます。
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