カプコンのスタジオで学ぼう「ゲームサウンド制作体験と著作権2025」開催報告
2025年7月24日、25日、ACCSは、会員企業である株式会社カプコンの知的財産部およびカプコンサウンドチームの協力のもと、同社大阪本社において、中高生を対象としたゲームのサウンド制作体験などを通じて著作権を学ぶ啓発イベントを開催しました。
1.開催概要
タイトル:カプコンのスタジオで学ぼう「ゲームサウンド制作体験と著作権2025」
期 日:2025年7月24日(木)、7月25日(金) 各日13:30-、15:00-(全4回)
会 場:株式会社カプコン大阪本社
主 催:ACCS
協 力:カプコン知的財産部 カプコンサウンドチーム
後 援:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会、
大阪府教育委員会、大阪市教育委員会
参加者:53名
内 容:第一部 ゲームソフトの効果音収録専用スタジオの見学・体験など(カプコン)
第二部 ゲームソフトに関わる著作権のミニ講義(ACCS)
本イベントは、次代を担う中学生・高校生を対象に、ゲームコンテンツの制作体験を通じて創作への敬意や意欲を育み、ゲームを通じて著作権の理解を深めることを目的としています。昨年に続き、2回目の開催となりました。
今回は大阪府内在住の中高生を中心に約100名の応募者から、抽選で53名が参加しました。
2.イベント内容
第一部 ゲームソフトの効果音収録専用スタジオの見学・体験など
カプコン大阪本社のテクニカルセンター内にある、ゲームソフトの効果音収録専用スタジオ(フォーリーステージ)にて、スタジオの見学と効果音制作体験を行いました。
サウンドチームのスタッフが、司会進行を担当し、ゲームの映像を見せながら、効果音の有無で印象が全く異なることや、音の演出がゲームの没入感に影響を与えることについて説明がなされた後、参加者は「モンスターハンターワイルズ」のゲーム映像に合わせ、3つの効果音作りに挑戦し、制作しました。
まず、柔道着を振り、揉むことで、武器を覆った布が解ける音を作成しました。次に、握ると中身が飛び出して音が出るボール状のおもちゃ使い、モンスターが飛び出す音を作成しました。最後に音響効果刀と呼ばれる道具をコンクリートの床面に擦ることで、刀を振り抜く音を作成しました。参加者は、自分が思い描く音を作るために、スタッフからコツを聞くなどして、試行錯誤しながら音を制作しました。
これらの効果音をサウンドチームのスタッフが録音し、その場でコンピュータを使い修正を加えます。音に深みや立体感を加えて修正すると、参加者は驚きの声を上げていました。
そして、映像に合うように編集し、完成した効果音入りの映像を皆で観賞しました。
その後、質疑応答が行われ、「ゲームサウンドに携わるきっかけは」「今までで一番気に入っている音は」「肉を切るシーンのときは本当に肉を切るのか」などの質問が出されました。
サウンドチームからは、「どうやったらいい音になるのか、常に工夫しながら考えながら作っている。そんな思いを知ってもらいながら、ゲームの中で音を聞いてもらえると嬉しい。」と参加者に話しました。
サウンドチームによる効果音制作体験の様子
次に、カプコン知的財産部のスタッフによるミニ講義が行われました。
カプコンのゲームの歴史をたどる映像とゲームができるまでの映像を上映し、ゲーム制作の流れと、制作の各段階における知的財産部の仕事内容を説明しました。また、「逆転裁判」を例に、現実の裁判所や周辺の施設を参考にしたエピソードなど、ゲームに没入感を与えるために工夫された点を説明しました。
さらに、現在開催中の大阪万博での映像をもとに、出展タイトルと商標の関係について説明しました。
参加者からは、「ゲームの開発にいくらかかるのか」などの質問が出されました。
知的財産部によるミニ講義の様子
第二部 ゲームソフトに関わる著作権ミニ講義、質疑応答、感想発表
第二部では、ACCS職員によるゲームソフトに関わる著作権ミニ講義を行いました。
ミニ講義では、ゲームソフトを構成する素材とゲームソフトが著作権で保護されていることと、著作権のルールの概要とゲームを楽しむ際の著作権の留意点について説明しました。
その後、著作権クイズと質疑応答を行い、「著作権の許可を取るにはどうしたらよいか」「同じ会社の中の別のゲームキャラクターを使うのはありか」「フリー素材を使って問題になることはあるのか」「ファンアートをSNSにアップしてよいか」などの質問が出されました。
最後に、参加者は今日のイベントを振り返りながら感想用紙に感想をまとめ、発表を行いました。感想からは、著作権についての理解が深まったことが感じられました。
主な感想
効果音制作体験の感想
・ゼロから音を作っているのがすごかった。
・一瞬で過ぎてしまう効果音であっても工夫があって、こだわりを感じた。
・スタジオの音の環境がすごくて感動した。
・身の回りのものを活用して音を作っているのがすごいと思った。
・ゲームの効果音はなにげなく聞いていたけど、アイデアの積み重ねだとわかって尊敬した。
・ゲームクリエイターになりたくてゲームを作るのが好き。良い情報を得て勉強になった。
著作権に関する感想
・学校、調べ学習ではokと知らなかった。もう少し調べてみたい。
・今後自分が演奏したりSNSを使ったりすることがあるから、自分から著作権を学ぼうと思った。
・著作権について少ししか知識がなかったけど、今日勉強して、使えないことだけでなく許可を取れば使えることを知った。
・著作権はややこしいと思っていたが、原則がわかってよかった。
・著作権はさらに学習をしていきたい。
・著作権の用語自体は知っていたが中身を知ることができてよかった。
ACCSによる著作権ミニ講義の様子
メデイア取材
当日の模様はNHK大阪放送局の取材を受け、7月25日の関西地区の朝のニュースで放送されました。また、ゲーム系のwebメディアであるgame8の取材を受け、取材記事が公表されました。
ゲームの制作体験通じ著作権を学ぶ催し 対象は中高生(NHKのニュースサイトの記事が開きます)
【取材レポート】カプコンのスタジオで学ぼう「ゲームサウンド制作体験と著作権2025」にゲームエイトライターが潜入取材!楽しく著作権を学べるイベントが待っていた!(game8の記事が開きます)
総括
本イベントには、中学1年生から高校3年生まで、全学年から参加がありました。大阪を中心とした関西地区以外からの参加者もあり、本イベントへの高い期待を感じました。
参加者は、サウンド制作を体験し、ゲームを作るためにサウンドクリエイターが創意工夫していることを学びました。また、知的財産部の果たす役割についても学び、ゲームができるためには多くの立場の人々が関わっていることを知ることとなりました。そのうえで、ゲームと著作権についてのミニ講義を受け、ゲームソフトが著作権で守られていることを知りました。ゲームを切り口としたことで、著作権をより身近に感じてもらもえたようです。
また、寄せられた参加者の感想からも、本イベントの目標を十分達成できたと考えています。
本イベントは、昨年に引き続き、企画から当日の運営までカプコン知的財産部とカプコンサウンドチームに多大なるご協力をいただくとともに、カプコン社の設備とゲーム作品を利用させていただくことで成功裏に終了いたしました。改めて本イベントへのご協力に感謝いたします。
ACCSは、今後とも会員会社と協働した著作権普及啓発イベントを開催し、参加者が楽しみながら著作権を学ぶことができる機会を提供してまいります。
本事業は、(一社)授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)共通目的事業
の助成事業として実施しました。
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